タイトルの『NORA』は傑作古典と名高い『人形の家』(原題:The Doll's House 作:ヘンリック・イプセン)の主人公「ノラ」の名前に由来しています。1879年のノルウェーで生まれたイプセンの『人形の家』は「父権的な家庭からの脱却」や「女性の自立」を描いた先駆的な作品で、現代のトロフィーワイフ*的な扱いを受けるノラがあることをきっかけに夫・ヘルメルの元から離れていく物語です。 *トロフィーワイフ:社会的、経済的に成功した男性が自らのステータスを誇示するために結婚した若く容姿端麗な女性を指す
19世紀末の初演から今日まで世界各国で上演されている『人形の家』を、大胆に現代風にアレンジした演出で魅せるのは、ヨーロッパで最も注目を集める演出家のティモフェイ・クリャービンです。抒情的でありながら、人間の深奥にぐさりと切り込むシャープな演出は世界中の演劇ファンを虜にしており、彼が演出した『三人姉妹』(作:アントン・チェーホフ)は全編が手話で演じられ、上演されるやいなや注目を集め、ロシアで最も権威ある演劇賞を受賞し、ヨーロッパ各国の芸術祭で大きな話題となりました。 その『三人姉妹』を東京芸術劇場は2019年の東京芸術祭にてプレイハウスに招聘し、そのストイックな演出は見る側に大きな衝撃と感動を与えました。
この度、すでに各国で大評判である彼の代表作『NORA』を日本人の俳優と共に上演することが決定しました。“古典”と呼ばれるこの会話劇をティモフェイは大胆にメッセンジャーやフェイスタイムというSNSでテキストを送り合う“今ならでは”のコミュニケーションで表現することを決めました。セリフの8割は物語の登場人物たちが手元のスマートフォンを用いてやりとりします。登場人物らが打つスマホの画面はリアルタイムで舞台上にあるスクリーンに映し出されます。
私たちのスマホに届くメッセージはどういう状況で相手から送られてきたのか。普段は決して見ることができない「相手側の生活」を垣間見た時に、『人形の家』=『NORA』は今を生きる我々の物語だと思うかもしれません。
主人公・ノラ役には黒木華、
さらに名実を兼ね備えた豪華キャストが作り上げる日本版『NORA』
タイトルロールであり主人公のノラを演じるのは、ドラマ・舞台・映画とジャンルを問わず活躍する黒木華。2014年に、映画『小さいおうち』で第64回ベルリン国際映画祭・最優秀女優賞(銀熊賞)を日本人歴代最年少(当時23歳)で受賞。
NHK大河ドラマ『光る君へ』(2024)において宮中という男性中心社会で強くしなやかに生きた源倫子を演じた彼女が演じる新たなノラ(NORA)にご期待ください。
さらに、ノラの人生を翻弄するキャラクターには、人気と実力を兼ね備えたキャストが集結。銀行の頭取にまで上り詰めるも妻をお人形扱いする残念な夫ヘルメルを演じる勝地涼、みじめな境遇から抜け出すために足掻くも、うまくいかないノラの友人クリスティーンを瀧内公美、さらに、とある秘密を武器に執拗にノラを追い詰めるクログスタを鈴木浩介が演じます。